Q.収穫もできるグリーンカーテンの作り方|ゴーヤ・キュウリなど野菜で涼しく省エネ
Q. 野菜でグリーンカーテンを作りたいのですが、おすすめの品種と作り方を教えてください。
「遮光と収穫を兼ねるグリーンカーテン」をいちばん作りやすいのはゴーヤです。続いてキュウリ、つるありインゲン、ヘチマ、パッションフルーツ、ひょうたん。プランター(横長で容量30L以上)+つるものネット+苗2株という最小構成で、5月中旬の植え付けから6月下旬には窓を覆い始めます。
ポイントは「植え付け前にネットを張っておくこと」と「親づるの早めの摘芯」の2つ。これを怠ると、上にだけ伸びてスカスカのカーテンになります。
■ なぜ野菜のグリーンカーテンが選ばれるのか
つる性植物を窓の外に這わせる「緑のカーテン」は、夏の日差しを和らげる工夫として古くから使われてきました。アサガオなどの観葉植物が定番ですが、野菜で作れば「日陰+収穫」が同時に得られるのが魅力です。お子さんの食育として取り組むご家庭も増えています。
環境省の「みどりのカーテンプロジェクト」でも、夏の室温対策として野菜のグリーンカーテンが紹介されています。エアコンの設定温度を1℃緩めるだけで消費電力が約10%下がるとされており、省エネとしての効果も期待されています。
■ グリーンカーテンに向く野菜6種
1. ゴーヤ(にがうり) — もっとも作りやすい
- 葉が大きく、密に茂るので遮光に向く
- 病害虫にも比較的強く、初心者でも育てやすい
- 1株から20〜30本以上の実が採れることもある
- 独特の苦味があるため、家族の好みに応じて品種(あばしゴーヤなど苦味の少ない種類)を選ぶ
2. キュウリ
- 成長が早く、植え付けから3週間ほどでネットを覆い始める
- 毎日収穫できる楽しさがある。1株30〜40本が目安
- うどんこ病が出やすいため、風通しの確保が必要
- 葉のサイズはゴーヤより小さく、カーテンの密度はやや低め
3. つるありインゲン
- 白や淡い色の花が美しく、景観としても楽しめる
- マメ科なので空気中の窒素を取り込み、追肥は控えめでよい
- 真夏(7月後半〜)は花が落ちやすいため、6月までの収穫が主
4. パッションフルーツ
- 南国風の見た目と甘い果実で話題性がある
- 暖地向き。関東以北では冬越しが難しく、基本的に一年草扱い
- 受粉は人工授粉が確実(虫の少ないベランダでは特に)
5. ひょうたん・ヘチマ
- 非常に旺盛に育ち、葉が大きいため遮光に向く
- 食用としての用途は限定的(ヘチマは若いうちに食べられる)
- 実が重くなるため、ネットと支柱は頑丈なものが必要
6. つるなしではなく「つるあり」の品種を選ぶ
同じインゲンでも「つるあり/つるなし」があり、グリーンカーテンには必ずつるありを選んでください。種袋やラベルに明記されています。
■ 必要なもの(2株栽培の例)
| 品目 | 規格 | 目安価格 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 横長プランター | 幅65cm以上、深さ30cm以上、容量30L以上 | 1,500〜3,000円 | 容量が小さいと夏に水切れする |
| つるものネット | 目合い10〜15cm、幅と高さは窓に合わせる | 800〜1,500円 | 2m×2m前後が一般的 |
| 支柱・突っ張りポール | 2.4m前後 | 1,000〜2,500円 | 物干し竿で代用も可 |
| 培養土 | 野菜用、35〜40L | 800〜1,500円 | EMボカシⅡ型を5%程度混ぜると土の状態を保ちやすい |
| 鉢底石 | 5L程度 | 500円前後 | 排水のため必須 |
| 苗 | 2株 | 400〜800円 | ゴーヤ・キュウリは1株200〜400円が目安 |
合計で5,000〜10,000円が初期費用の目安です。プランターと支柱は翌年以降も使えるため、2年目からは苗代と土の補充だけで済みます。
■ 作り方の5ステップ
ステップ1:ネットの設置(苗を植える前)
グリーンカーテンで最も重要な工程です。苗を植える前にネットを張っておくのが鉄則。つるが伸びてからネットを張ると、つるを傷めてしまいます。
- 窓の上部(ひさし、バルコニーの手すりなど)にネットの上端を固定
- 下端はプランターの縁か、地面のペグに固定
- ネットはピンと張りすぎず、風で揺れる余裕を持たせる(強風での破損を防ぐ)
ステップ2:プランターの準備
- 鉢底石→培養土(EMボカシⅡ型を混ぜたもの)の順に入れる
- 土は縁から3〜5cm下まで(ウォータースペースを確保)
- たっぷり水をやって土をなじませる
ステップ3:苗の植え付け(5月中旬〜下旬)
- 株間:30〜40cm。65cmプランターなら2株が目安
- 植え穴の処理:植え穴にEM活性液の500倍希釈液を注いでから苗を植えると、根が新しい土になじみやすい
- 仮支柱:苗が小さいうちはネットに届かないため、短い支柱で誘引する
ステップ4:摘芯と誘引(植え付け後3週間〜)
カーテンの密度は、この摘芯作業で決まります。
- ゴーヤの場合:親づるが5〜6節伸びたら先端を摘芯。子づるが左右に伸びてカーテン状に広がる。子づるもネットの端に達したら摘芯して孫づるの発生を促す
- キュウリの場合:親づるを上方向に誘引し、子づるを横方向に広げてネットに絡ませる
- 共通のコツ:つるが一方向に偏らないよう、意識的に左右に振り分けて誘引する。均一なカーテンに仕上がる
ステップ5:日常管理
- 水やり:夏場は朝夕2回。プランターは地植えより乾燥しやすいので水切れに注意
- 追肥:2週間に1回、EMボカシⅡ型を株元に追肥。EM活性液の500倍希釈液を灌注すると土壌微生物の状態を保ちやすい
- 収穫:実が適正サイズになったらすぐに収穫する。実を放置すると株が疲れてカーテンが薄くなる
■ よくある失敗と対策
| 失敗 | 原因 | 対策 |
|---|---|---|
| カーテンがスカスカ | 摘芯をしていない。子づるが発生せず、1本だけ上に伸びている | 親づるを早めに摘芯し、子づる・孫づるを増やす |
| 下半分が枯れている | 下葉に光が当たらない。病気が発生 | 上部の葉が茂りすぎたら適度に間引く。風通しを確保する |
| 実がならない | 受粉不足(高層階では虫が来にくい) | 朝のうちに雄花を摘んで雌花に手で受粉させる(人工授粉) |
| ネットが重みで落ちた | 固定が不十分。実の重さを想定していない | 上部の固定を複数箇所で行う。重い実は早めに収穫 |
| プランターの土が乾く | 夏の日差しで蒸発が激しい | プランターにマルチング。底面給水型プランターの活用 |
| うどんこ病が出る | 葉が密生して風通しが悪い | 下葉と内側の枝を間引く。発病葉は除去して畑外で処分 |
■ 設置場所別の注意点
マンション・アパートのベランダ
- 管理規約で外壁への固定が禁止されていることがあるため、突っ張りポールやプランタースタンドで自立式にする
- 強風で倒れないよう、プランターの底に重しを入れる
- 避難経路になっているベランダでは、避難ハッチや隔て板の前を塞がない配置にする
戸建ての窓辺
- ひさしや雨戸の戸袋にフックを打って、ネットの上部を固定する
- 地面に直接プランターを置く場合は、すのこやレンガで底面を持ち上げると、コンクリートからの輻射熱を遮りやすい
東向き・北向きの窓
- 日照不足だとつるの伸びが鈍くなる。1日3時間以上の日照がない場所では、生育に時間がかかる
- 葉が薄くなりがちなので、追肥を通常より多めに(2週間に1回→10日に1回)する
■ ついでに知っておきたいこと
Q. 何月にネットを張ればいい?
ネットの設置は5月上旬までに終えておきます。苗を植えてからネットを張ると、つるを傷めたり、誘引のタイミングを逃したりします。連休中の作業として組み込むのが現実的です。
Q. ゴーヤとキュウリ、結局どっちがいい?
「カーテンとしての密度」を優先するならゴーヤ、「食卓での出番が多い実」を優先するならキュウリです。両方を1株ずつ植える方も多く、2株プランターなら左右で分けて育てる方法もあります。
Q. プランターは何リットルあれば足りる?
1株あたり最低でも15L、できれば20L以上必要です。65cm幅の標準プランターはおおむね30〜40Lなので、2株までが限界です。容量が足りないと、夏の水切れと根詰まりで生育が止まります。
Q. 緑のカーテンは何度くらい室温を下げる?
環境省の調査では、設置の有無で窓辺の表面温度に10℃以上の差が出る例も報告されています。室温そのものは1〜3℃の差にとどまることが多いものの、輻射熱の体感が大きく変わるため、エアコンの効きが良くなったと感じる方が多い設備です。
Q. 連作はできる?
ゴーヤやキュウリはウリ科のため、同じプランターの土で続けて育てると連作障害が出やすくなります。2〜3年は別の科の野菜(マメ科のインゲンなど)とローテーションするのが基本です。土を全量入れ替えるか、EMボカシⅡ型を混ぜ込んで2〜3週間休ませてから次を植えると、土をリセットしやすくなります。
Q. 終わった後のつるはどうする?
9〜10月に枯れたつるをネットから外し、細かく切ってEMボカシⅡ型と一緒にコンポストに投入すれば、翌年の土づくりに使えます。病気が出た株のつるは堆肥化せず、家庭ゴミとして処分してください。
野菜のグリーンカーテンは、省エネ・食育・有機栽培の実践を一度に体験できる、夏の家庭菜園の定番です。今年の夏に窓辺へ「食べられる緑のカーテン」を仕立てる予定があれば、5月の連休中の作業として組み込んでみてください。
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