Q.「根と共生しやすい微生物」にはどのようなものがいて、どんな働きをしますか?

作物の根の周り(根圏)には、植物と良い関係を築く様々な微生物がいます。

  • 菌類(Fungi):
    • アーバスキュラー菌根菌(AM菌): イネやマメ科、トマトなど多くの作物と共生し、土の中のリン(P)や窒素(N)を作物に供給したり、植物を乾燥や病気に強くしたりします。土壌構造の改善や根の発達も助けます。
    • 外生菌根菌(ECM菌): 主にマツ科やブナ科などの樹木と共生し、樹木の成長促進やストレス耐性向上、ミネラル吸収を助けます。
    • エンドファイト菌(Endophytic Fungi): 植物の組織内(根や茎、葉など)に生息し、病害抑制や乾燥・塩害・重金属などへのストレス耐性向上、植物ホルモンの合成促進による成長促進といった多様な働きをします。
  • 細菌(Bacteria):
    • 根粒菌(こんりゅうきん): マメ科植物の根に根粒というコブを作り、空気中の窒素(N)を作物が利用できるアンモニアの形に変換して供給する窒素固定を行います。土壌の肥沃度を高めます。
    • 植物成長促進根圏細菌(PGPR:Plant Growth-Promoting Rhizobacteria): バチルス属やシュードモナス属など様々な種類があり、幅広い作物と共生します。植物ホルモン(オーキシン)を出して根の成長促進を助けたり、土の中のリンを作物が吸収しやすくしたり(リン酸可溶化)、病害を抑える物質を出したりします。
    • アゾスピリルム属(Azospirillum): イネやトウモロコシなどの根の周りに生息し、窒素固定や植物ホルモン(ジベレリン)の合成によって作物の成長を促進します。

これらの微生物は、単独ではなく互いに協力し合う「微生物共生ネットワーク」を形成し、作物の生育を強力にサポートしていると考えられています。