土壌の「腐敗」と「発酵」は何が違うのですか?
同じ分解でも結果は正反対!「腐敗」は有害物質と悪臭、「発酵」は有用成分を生み出します。 どちらも有機物が微生物によって分解される過程ですが、結果が異なります。 腐敗は、主に嫌気的な(酸……
定年をきっかけに畑を始めて、数年。
春も秋も欠かさず耕しているのに、雨が降れば水たまりができ、乾けばカチカチに固まる——そんな畑になっていないでしょうか。
苦土石灰をまいてみた、肥料を増やしてみた、それでも野菜の育ちがそろわない。
実は、その原因は肥料でも品種でもなく、土の「構造」にあることが少なくありません。
今回は、家庭菜園でいちばん差がつきやすい「団粒構造(だんりゅうこうぞう)」について、しくみから確かめ方まで整理します。

耕した直後の土は、たしかにふかふかになります。
ところが、その柔らかさは長続きしません。
理由は単純で、耕うんでできた柔らかさは「土のかたまりを砕いてバラバラにしただけ」の状態だからです。
バラバラになった細かい土の粒は、雨に打たれると隙間に入り込んで詰まり、乾くとそのまま固まります。
これがいわゆる「単粒構造(たんりゅうこうぞう)」の土で、水はけも通気性も悪くなりやすいとされています。
つまり、耕して柔らかくする作業だけを毎年繰り返していると、いつまでも「一時的に柔らかい土」から抜け出せません。
本当に目指すべきなのは、耕さなくても柔らかさが保たれている土——それが団粒構造の土です。
団粒構造とは、細かい土の粒どうしがくっつき合って、小さなかたまり(団粒)になっている状態のことです。
まず粘土や腐植(ふしょく)が結びついて一次団粒ができ、それがいくつか集まって二次団粒になり、さらにそれらがくっついて土壌団粒ができあがります。
大きさも形も違うかたまりが積み重なるため、土の中には無数の隙間が生まれます。
この隙間の使い分けが、団粒構造の本質です。
小さな隙間は水を抱え込み、大きな隙間は余分な水を下へ通し、水が抜けたあとには空気が入ります。
「水もちがよいのに水はけもよい」という一見矛盾した状態が成立するのは、この二段構えの隙間があるからです。
根は隙間に沿って深く伸び、隙間にすみついた微生物が有機物を分解して、窒素・リン酸・カリなどの養分を供給します。
その養分は団粒の中の粘土や腐植にたくわえられ、野菜は必要なときに必要な分だけ吸収できる、という流れになります。
ここが重要なところですが、団粒は人間が耕してつくるものではありません。
土に入れた堆肥などの有機物を微生物が分解するとき、ネバネバした物質(多糖類)が出ます。
これが糊(のり)の役割をして、土の粒どうしをくっつけます。
ミミズが出すヌルヌルした物質も、同じように団粒づくりに役立つとされています。
耕うん機で細かく砕く作業は、この微生物やミミズがつくったかたまりを物理的に壊す作業でもあります。
やみくもに耕す回数を増やすほど土が締まっていくのは、こうした理由からです。
土づくりの主役は機械ではなく、土の中の生きものだと考えると、やるべきことがはっきりしてきます。

やることは難しくありません。
「有機物を入れる」「微生物を働かせる」「壊しすぎない」の三つに集約されます。

EMガーデンは水やりの時に薄めるだけの簡単な微生物資材

わらマルチ
資材を入れるタイミングは、種まきや定植の前。
夏場なら2週間以上前、冬場なら1〜2か月前が目安です。
土が酸性に傾いている場合は、貝化石やカキ殻などでpHを調整しておくとよいとされています。
団粒構造は目に見えにくいものですが、畑に出て確かめる方法があります。
道具も費用も要りません。
団粒構造は、一度の作業で完成するものではありません。
有機物を入れ、微生物に働いてもらい、壊しすぎない——これを何作か繰り返すうちに、少しずつ土が変わってきます。
毎年同じように耕して同じ結果に終わっているなら、来シーズンは「耕し方」ではなく「土の中の生きもの」に手を入れてみてください。
畑仕事の手応えが、はっきり変わってくるはずです。

参考文献:『EMでつくるいきいき家庭菜園』(EM研究所)
https://emlabo.co.jp/product/3273/